明けましておめでとうございます。
旧年中は大変ありがとうございました。
“2024年”でブックリンケージも7年目を迎えます。出版したい人、企画を求める出版社、それをカタチにする編集者、その3者をつなぐ出版エージェントとしての活動を軸に、引き続き出版案件をとりまとめ、出版する側と制作する側相互を連携する役割も果たしたいと考えています。
本年も何卒よろしくお願い申し上げます。
2024年元旦
ブックリンケージ代表 中野健彦
出版エージェントは著者と出版社をつなぐのが仕事です。具体的には、テーマに相応しい出版社を選定する、そこに向けて企画を仕上げて提案する。出版が決まれば著者が執筆に専念できるよう煩雑な事務手続きを代行したり、条件面などの交渉も行います。
著者が1冊の本を出版するには、多くの関係者との連携が必要になります。版元編集者、営業担当者、編集実務担当者、ライター、デザイナー、イラストレーター、校閲者、プロデューサーなどなど。彼らは何十冊、何百冊と本作りを経験している出版のプロです。そんな中で著者だけが出版素人というのが現実です。
ビジネス書で専業作家というのは、ほんの僅かで、ほとんどの著者は本業があって、またその本業で成功しているが為に例外なく忙しい。そんな中で「出版のプロであり、企業である出版社」と「出版の素人で一個人」の著者が対等にビジネス交渉していくのは現実的ではありません。そこで、出版社なり編集担当者を「全面的に信頼する」という構図ができあがります。
もちろん多くの出版社は信頼すべき存在であり、版元編集者は著者とパートナーシップを築いて「売れる本」をつくるために全力を傾けます。ただ、情報弱者である著者との関係においては有利な存在であることに変りはありません。そもそもビジネス書著者には、複数の出版社の話を聞いて条件面を比べて出版先を選ぶ──という他の業界では当たり前のことがなかなか出来ない現実があります。
2020年に出版された宮崎伸治さんの『出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記(三五館シンシャ)』が話題です。この本では出版業界のダメな部分、構造的な欠陥がイヤというほど出てきます。ちょっと極端にも感じますが、どのエピソードも出版関係者には「あるある」で、読むと憂鬱な気分になります。出版希望者もこの本を読んだら本を出すのを躊躇するのではないでしょうか。
そんな状況を打破するのが、多くの出版社とパイプをもち、出版の専門家である出版エージェントです。テーマによりマッチした出版社を選択肢に加える、出版スケジュールを調整する、執筆が困難になった場合にブックライターを入れる、販促を提案するなどなど著者側に立って出版に有利な環境を整えます。
出版することは出版社にとって著者への投資──という話は先の記事に書きました。では、どうすれば手っ取り早く「投資される人」になれるのでしょうか?
結論から言えば「自分を大きくみせる数字」を作ることです。例えば株に投資するにも、その会社の規模や直近5年の売上の推移、従業員数、業界の成長率など数字を元に検討しますよね。
出版も同じで、著者力はあるのか?テーマにニーズがあるのか?などをまず数字で判断するわけです。例えば整体師をしていれば、1万人を治療して半年先まで予約がいっぱいとか、この1年でテレビに5回出演している、などがあればかなりの著者力です。
以下は2019年に出版いただいた『腰痛の9割は水で治る(かんき出版)』ですが、サブタイトルに使うことで説得力が増しているのが分かると思います。因みに本書は現在4刷です。
こうした数字を持つ人はひと握りかも知れません。さらにそれを作るのに何年かかるのか?という話です。でもこうした実績に「比肩する数字」は自分で作ることができるのです。
例えば「SNSのフォロワー数」です。この話をすると「フォロワーは買える」とか「相互フォローを繰り返せば」などという人もいますが、作られたアカウントは、投稿内容やFF率、リツイート数などで簡単に見破られるので意味がありません。
では、どれくらいのフォロワー数が必要かという話ですが、Twitterなら3万フォロワー、ブログで月間100万PVなどが目安です。
企画採用にSNSのフォロワー数を重視する版元にK社やW社やT社がありますが、実際にこうした基準から著者を探して「結果」を出しています。この数字はその1社の編集長から直接聞いているので、他社も概ねこんな感じなんだと思います。
短期間にたくさんのフォロワーを集めているアカウントは、この数字に満たない場合も編集者が伴走してアドバイスをするなど出版に向けた活動が始まるケースまであります。
ちなみにTwitterでは最初の半年で5,000フォロワーが目安と言われています。著者に勧める立場上、私もやってみましたが半年で3,000フォロワーが精一杯でした。難易度の高さを実感すると共にTwitterと出版の親和性を体感する機会にもなりました。
SNSでの発信を強化するメリットに、その内容がそのまま「本の元原稿として使える」ということがあります。
ブログ、YouTube、Instagram、Twitter、noteなどが代表的なSNSですが、個人的には原稿を推敲できるnoteと拡散力のあるTwitterの組み合わせが最強と考えています。
こうしたアプローチは版元編集者にとっても著者の考え方やメソッドの独自性、文章力などを知ることができるなど、多くの利点があります。
発売後にはSNSを通じて出版の告知や販促にも使えます。さらには「文章力も身につく」ので、出版を目指す人は、やらない理由がないとさえ思っています。
SNSではフォローされること以外に、フォローするメリットも少なくありません。同じテーマで発信している人をフォローすることで、そのジャンルの動向やトレンド、関係者しか知り得ない情報などに直接触れることで、さまざま向上できます。
ある程度フォロワー数が増えたら、出版関係者をフォローします。フォローバックしてもらえなくても、リプライなどでプロフィールを見てもらえるように働きかけます。
編集者であれば、常に売れる著者候補やトレンドを追いかけているので、一定の水準を超えていれば必ず関心をもって過去ツイートやリンク先の活動内容に目を通してもらえるはずです。
SNSは出版を目指す人にとって「メリットしか」ありません。ですから出版希望者には必ず勧めるのですが、ときどき「発信することがない」と言われて心配になってしまうことがあります。
本には書くことがあるのだろうか?と考えてしまうからです。
・SNS発信でテーマのニーズをつかむ
・SNS投稿で原稿の元をつくる
・フォロワー数で著者力とニーズを証明する
・SNSで著者を探す編集者の目に留まる
・出版したらSNSで販促する
本記事はnoteと一部重複しています。
出版が決まらない企画の特徴は次の4つの「ない」に集約されます。原稿では「読者のために書かれていない」つまり、著者が「自分のために書いている」というのもありますね。
齋藤隆次さんの出版記念パーティーが12月13日に神保町の「ブックハウスカフェ」で開催されました。
11月30日にKADOKAWAさんから発売された齋藤隆次さんの初著書『ビジネスエリートが実践している異文化理解の全テクニック』は、語学よりも大切な主要国別100のコミュニケーション術を実体験を元に教える役立ち本です。
「Good job !」 は「まだクビにはしないよ」という上から目線のNGワード、ほめるときは「Excellent!」。でも「給料上げるよ」って受け取られることも──。 国内外で長年外国人と働いてきたキャリアを持つ齋藤隆次さんが、その豊富な実体験をもとに、日本と接点が多い主要国におけるビジネス・生活習慣やマナーの特性をわかりやすく解説しています。
当日は、ブックハウスカフェ社長の今本義子さん、担当編集の田所陽一さんの挨拶に続いて齋藤隆次さんも参加した「ビジネス著者養成講座」を主催する松尾昭仁さの乾杯の発声で始まりました。わたしも本書をプロデュースしたご縁で挨拶をさせていただきました。
書籍内容に因んだ「異文化理解クイズ」などなど趣向を凝らした内容で本当に楽しいパーティーでした。会は著者先輩にあたる小西昭生さんの中締め、パーティー主催の大杉潤さんの挨拶で閉会しました。掲載写真は大杉さんからのものです。大杉さんありがとうございました。齋藤さんご出版おめでとうございます!
ビジネスエリートが実践している 異文化理解の全テクニック 単行本 – 2019/11/30
出版できる企画の特徴を箇条書きにまとめました。どれも当たり前のことですが、ビジネス書では、読んで得があること。そして本のゴールとそのために何をすればいいかが明快でことが求められます。
「営業職ほどすばらしい仕事はない」
全世界の生保営業職トップ 6%で構成されるMDRTメンバーに17度選出された世界トップセールスレディが教える「売れる営業」のマインドセット。営業は企業の存亡にかかわる最重要な部門であり、工夫と努力がそのまま成果として反映される、やりがいのある職種。営業で成功するために必要な心構えを1から教える営業職必読の一冊。
第1章 「売れる営業」に絶対に必要なもの
第2章 「売れる営業」のコツを知る
第3章 「売れる営業」の成功習慣
第4章 理想の営業スタイルを求めて
第5章 営業ほど楽しい仕事はない
玉城美紀子(たまき・みきこ)
第一生命 安里営業オフィス・シニアエキスパートデザイナー。
世界の生命保険営業職トップ6%のメンバーで構成されるMDRT(Million Dollar Round Table)終身会員、CFP ファイナンシャルプランナー。
沖縄県那覇市出身。幼少期に父を亡くし、小さな雑貨店を営む母親に女手ひとつで育てられる。中学生で母の元を離れ、牛乳屋を営む叔父の家で毎朝牛乳配達をし、従妹たちの子守をする生活に。高校卒業後、地元の銀行に就職(事務職)するが、結婚・出産を機に退職。
再就職活動中の26歳のとき、第一生命のセミナーに参加。創業者・矢野恒太の志に共感して、コミュニケーション下手のため避けていた「営業職」として入社することを決意。営業経験なし、ゼロからのスタートで、入社直後はまったく結果が出なかったものの、独自のマインドと方法を確立しながら3年後には頭角を現し、5年目にはトップセールスに。以来、営業一筋38年。2001年にMDRTに初選出(沖縄では初)されて以来、これまでに通算17回選出されている(10回以上の選出で終身会員)。
「営業とは一生懸命、人の話を聞くこと」が信条。
ブックリンケージのウェブサイトにアクセスいただき、誠にありがとうございます。
リンケージは「連係」や「つながり」を意味する言葉で、2つの集団の一方を起点に活動して、もう片方に反作用を生じさせる行動をさします。ブックリンケージは、出版したい人と企画を求める出版社、それをカタチにする編集者の間をつなぐ存在です。いくつもの道路が交わる交差点のように積極的に出版案件をとりまとめ、出版する側と制作する側相互を連携する役割も果たしたいと考えています。
ご意見などございましたら、お気軽にお問い合わせください。今後ともブックリンケージをよろしくお願い申し上げます。